上海・明珠美術館
Pearl Art Museum
2023.12.16
— 2024.03.17

土への讃歌
In Praise of Soil

地表から、土の底へ
「我、是土。I am the soil」の宣言と、ガラスドームに納められた一握りの赤土

我、土なり。I am the soil.

焼くことも、化学的に変えることもない。原状のままの土を、わずかな手仕事だけで住まいへと変えてゆく。それが生土(せいど)である。中国では新石器時代、およそ八千年前から使われ、いまなお世界で六千万を超える人々が、この土の家に暮らしている。呼吸し、還り、また生まれ変わる素材。

「生土礼讃」は、この最も素朴な物質への畏敬を、材料研究・建築・デザイン・工芸・現代アート・科学普及の六つの領域が一つの部屋で交わす、跨領域の讃歌である。展示は「見る・知る・触れる」の三語で貫かれ、六人の作家による三十二組・百点あまりの作品が並んだ。

01

土の誕生The Birth of Soil

全国から集められた土。試験管に立てられた地域ごとの標本、色ごとに移ろいながら並ぶ百を超える土の円柱。土はまず「色」として、その多様さを語りはじめる。

02

土の性質The Nature of Soil

砂性と粘性、液橋の原理、崩れ方の違い。円柱に固めた土がどこまで形を保ち、どこで崩れるか――科学実験のまなざしで、生土を現代建築へ用いる可能性を検証する。

03

土に住むLiving in Soil

福建の土楼を築く道具と工法から、現代の生土建築まで。伝統の応用類型――木や竹の骨に泥を塗る編竹夾泥壁、圧縮土磚、夯土(版築)――を断面模型で並べ、過去と現在をつなぐ。

柔らかさと硬さ、脆さと強さ ―― 土の内なる矛盾。

邵磊《流れる裂け目》は、集合住宅のような陶磁のかたちに、土のこの矛盾を宿す。KUMOと鈴木晋作の《「土」と「記憶」のトンネル》は、竹を骨・土を壁とした円環の通路。中の空間に座れば外界から切り離され、温かな土の色に包まれる。

04

土と芸術Soil & Art

作家たちが、土を主題に制作する。杉﨑晴菜は土を絵具とした大画面の絵画を描き、原初の壁画のように大地の精霊と生きものを立ちのぼらせる。謝文蒂《鏡像(角)》は、ガラスと陶磁による角のかたちを、赤土のマウンドに黒と錆の台座で林立させる。蘇詠宝《浮遊する塊茎》は中薬材を糸で吊るした宙に浮く根と種の装置である。

05

もっと土に触れようTouch More Soil

手で触れる章である。KUMOによる二つの作品――五十本のガラス管がつくる《心にひびく「土」の音楽》、そして直径六メートルの円盤の上で来場者が街をともに築く《心が向かう「土」の風景》――が待つ。子どもの手が、土のブロックを塔に積みあげていく。

五人の共同キュレーターFive Co-Curators

材料科学・建築・現代アートの境界を越えた、五人の協働。

金澤韻と増井辰一郎
金澤韻 / 増井辰一郎
Kanazawa Kodama / Masui Shinichiro
Code-a-Machine 主宰
李丹丹
李丹丹 博士
Li Dandan, Ph.D.
上海明珠美術館 館長
穆鈞
穆鈞 教授
Prof. Mu Jun
北京建築大学 執行院長
飯島剛宗
飯島剛宗
Iijima Yoshitoki
株式会社KUMO 代表